オーム社といえば電気、電気にまつわる人気資格といえば電験三種…ということで、オーム社ではこれまで電験三種試験の受験対策に役立つ書籍を数多く出版してきました。
現在も、理論・電力・機械・法規科目それぞれを網羅的に学ぶことができる「やさしく学ぶ電験三種」シリーズや、「完全マスター電験三種受験テキスト」シリーズがロングセラーとなっていますが、電験三種の学習をすすめるにあたってもし仮に「一冊を選ぶ」としたら、どちらがおすすめの書籍なのでしょうか?
そこで、日本エネルギー管理センター専門講師として両テキストを講習会で使用し、月刊誌「新電気」でも連載企画「西山先生の電験三種「ずぼテク」教室」を執筆中の西山真先生に、「やさしく学ぶ電験三種」シリーズと「完全マスター電験三種受験テキスト」シリーズの違いと活用方法について伺いました。
初~中級者は「やさしく学ぶ」、上級者は「完全マスター」シリーズがおすすめ
ーーオーム社が主催する講習会では「完全マスター電験三種受験テキスト」シリーズを使用することが多いのですが、受講者から「試験までに全部覚えることができるか不安」というコメントをいただくことがあります。
西山 そうですね、「完全マスター電験三種受験テキスト」の内容をすべて覚えることはかなり難しいと思います。電験三種の試験範囲外である積分を使って解説している箇所もありますし、電験三種より上級の資格である「電験二種」の受験対策にも使えるくらいのテキストなので。
ーー西山先生は受講者の学習度によって「やさしく学ぶ電験三種」シリーズと「完全マスター電験三種受験テキスト」シリーズを使い分けていると伺いましたが、初学者にとっては「やさしく学ぶ電験三種」シリーズがおすすめと言えるのでしょうか。
西山 はい。この2つのシリーズの位置づけは以下のように整理できます。
「やさしく学ぶ電験三種」シリーズ…初級者~中級者向け
「完全マスター電験三種受験テキスト」シリーズ…上級者向け
学習度や試験までの時間を考慮し、テキストを使い分けよう
ただ、どちらか一冊を選ぶというより、ご自身の学習度や試験までの時間を考慮して2つのテキストを使い分ける形をおすすめしたいですね。
ーー具体的にはどのような形でしょうか。
西山 電験三種を初めて学ぶ方や、半年~1年後の試験に向けて学習をすすめる計画がある方は、試験範囲の全体像をつかむためにもまずは「やさしく学ぶ電験三種」シリーズを使用して学習をすすめたほうが良いと思います。
一方、「完全マスター電験三種受験テキスト」シリーズは、試験直前期の過去問演習で「初めて見る出題形式や解き方」に出会ったときに役立ちます。「やさしく学ぶ電験三種」シリーズでは内容が難しすぎるためカットされてしまった部分も、「完全マスター電験三種受験テキスト」シリーズであれば掲載されていることが多いです。
なので、どちらか一冊を選ぶというよりも、まずは「やさしく学ぶ電験三種」シリーズでひと通りの出題範囲を学習していただき、過去問演習の際に辞書がわりに「完全マスター電験三種受験テキスト」シリーズを使用いただく形がよいでしょう。
ーーありがとうございます。今までのお話をまとめると、どちらか一冊というより「やさしく学ぶ電験三種」シリーズと「完全マスター電験三種受験テキスト」シリーズを組み合わせた学習がおすすめですね!
西山 あとは過去問題集も必要ですね。
ーーなるほど。過去問題集の活用法についても、また機会があれば教えてください!本日はありがとうございました。
西山 真(にしやま まこと)
2007年、東京電力㈱品川制御所に入社。変電所の保守や工事監理の業務に従事。東京電力を退職後、大手鉄道会社、データセンター事業者で電気設備の保守、運用の業務に従事。
2018年から日本エネルギー管理センターの専任講師として、電気工事士と電験三種の教鞭を執っている。電験一種、エネルギー管理士などを取得。
この記事でご紹介した書籍一覧
オーム社オンラインスクールでは、動画で学べる「電験三種受験対策講座」を配信中!
本記事にも登場した書籍「やさしく学ぶ電験三種」シリーズをもとにしたオリジナルテキストを使用しており、初学者のみなさんが学習をスタートするための最初の一歩としてご活用いただけます。
また、動画は各分野ごとに分かれており、受験経験者のみなさんにとっても苦手な分野のみ学び直しをできる構成となっています。