国家資格「ドローン操縦士免許」の将来性と資格取得に向けた勉強法とは?「ドローン操縦士免許 完全合格テキスト」著者・佐藤靖さんに伺いました

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書籍「ドローン操縦士免許 完全合格テキスト ー学科試験+実地試験対応―」の著者であり、オーム社オンラインスクール講座(ドローン操縦士免許 学科試験 完全合格セミナー)でも講師を務める佐藤靖さん。
このインタビューでは、佐藤さんに国家資格の将来性と、資格取得に向けた勉強法について伺いました。

未経験から挑戦し、様々な経験を積む

ーーーまず初めに、佐藤さんのプロフィールを教えてください。

佐藤 もともとは、電力会社の情報通信系のグループ会社でシステムエンジニアの仕事をしていました。プログラマーから始まりプロジェクトリーダーなども務めていましたが、現在は独立してドローンに関する空撮・物資輸送等の役務提供、操縦訓練・セミナー対応など教育・指導全般、アクセサリーを含めた機器販売の主に3つの事業分野を展開しています。

ーーーそもそもドローンに興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか。

佐藤 2014年9月頃、電力業界紙でドローンを使って鉄塔の点検を行っているという記事を目にしたことがきっかけです。記事を読んだ時に、ドローンを業務で活用すれば現場での情報の取得から解析・保管までを一元管理するシステムを作ることができ、事業を大きくするチャンスではないかと閃きました。

ーーーそれまでにドローンを操縦したご経験はあったのでしょうか。

佐藤 まったくありませんでした。そこで、記事で名前を拝見した野波健蔵先生(書籍「ドローン操縦士免許 完全合格テキスト」監修者。当時は千葉大学教授。現在は千葉大学名誉教授)へ直接メールを送ってアポイントを取り、地元(広島)から千葉まで出向いてドローンの可能性について色々と教えていただきました。

ちょうどその頃、社内でも新規事業を模索しており、うまく流れに乗った形で2015年4月から専任組織として事業部が発足し、管理職としてチームに参加しました。

ーーー当時はドローンの操縦に関する情報や資格などは整備されていなかったと思います。佐藤さんはどのようにドローンの操縦に関する勉強をされたのでしょうか。

佐藤 当時は民間資格も無く、法律も整っていなかった時期でしたので、野波先生にラジコンヘリのプロフェッショナルをご紹介いただき、とても厳しい指導を受けました。会社のお金で受講する限りにおいて、絶対に操縦が出来るようにならなければという大きなプレッシャーのおかげか、ドローンの操縦や仕組みについては習熟しましたね。

しかし、ドローンを操縦する際の禁忌事項など絶対にしてはならない操縦方法は、今なら「無人航空機の飛行の安全に関する教則」を読めば事前にわかりますが、当時はそんな情報は全くありませんでした。なので、お客さまの前で初めてのお披露目操縦の機会にドローンを墜落させてしまった、、というほろ苦い思い出があります。

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著者、講師として伝えたいこと

ーーーまさに試行錯誤の中で、ドローンに関する技術と知識を学ばれたんですね。

佐藤 2015年12月10日に改正航空法が施行された後から民間資格も増え始め、所属していたドローンの業界団体でもドローンスクールを開校することになりました。この頃から、私自身が講師として講習を行ったり、航空法や電波法に関する座学のテキストを作ったりするようになりました。

ドローンスクールでの講義の際は、テキストの解説以外にも、現場で経験したヒヤリハットや事故事例を紹介したり、自分で整理した補足資料を使ったりとメリハリをつけた講義を心がけていました。この経験が、今回の書籍とオンラインスクールでの講義動画にも活かされていると思います。

また、書籍の執筆と動画での講義では、国家資格取得のために必要な情報をお伝えすることはもちろんですが、国家資格を取得した後も、ドローンを運用する中で危機的な状況に遭遇した時に自分が持っている知識と技術を総動員してピンチを乗り越えてほしい。そんな時に役に立つ知識を伝えたいという思いを込めました。

ーーーオンラインスクールの講義の中でも、ドローンを操縦していて怖い思いをした、あるいはなるべく飛ばしたくないといったお話をされていたと思います。佐藤さんはどのような危機的状況に遭遇されたのでしょうか。

佐藤 お話できる範囲だと、まだ飛行の経験が少なかった頃、11月でしたが太陽光発電設備の点検を行う業務がありました。その日はたまたま、雪が積もるくらいの冷え込みでした。ドローンのバッテリーは通常なら20分くらい持つのですが、空撮を始めたところその日は10分しかバッテリーが持ちませんでした。墜落はしなかったのですが、着陸態勢の途中でバッテリーが尽きてしまい、着陸というよりは壊れない程度の速いスピードで落下させてしまいました。

その時は原因がわからず、バッテリーの異常だと思ったのですが、気温が低いとバッテリーが活性化しないという、今なら当たり前の知識すら知らなかったんですね。私自身がこうしたヒヤリハットをいろいろ経験したので、後に続く方に出来るだけ詳しく伝えたいと思っています。

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ドローンを取り巻く情勢の変化

ーーー現在、ドローンを取り巻く状況はどのように変化しているのでしょうか。

佐藤 私自身は今、ドローンの業界が熱くなりつつあると感じています。2022年12月5日からドローンの操縦資格が国家資格になるなど、国が主体となった様々な法的な整備が常に行われています。

最近の特に大きな動きは、物資輸送の分野です。山間部や離島にどうやって物を運ぶか。法律も整い、実用化のタイミングに入ってきたと感じています。

また、山にある送電線や送電鉄塔、変電所や街中の配電線・配電柱、太陽光発電所、コンビナート、電波塔、携帯電話の基地局、ビルの外壁点検といった社会インフラの点検や農薬散布など今まで通りの現場で変わらずドローンが活用されている分野もあります。

さらに、ドローンに搭載するカメラも近年では非常に高性能になり、AIや画像解析といった周辺環境も整いつつあります。例えば保険業界では、災害〜被災〜現状の把握まで、ドローンのカメラでエビデンスを取ってその後のアクションを早くするといった活用が加速しています。

国家資格を取得するメリット・勉強法

ーーードローンの活用分野が広がっていく中で、国家資格を取得するメリットはなんでしょうか??

佐藤 免許を取得するメリットは、ドローンの操縦者と、操縦者に業務を委託する事業者双方にあると思います。ドローンの操縦者にとって、やはりしっかりとした知識と十分な技術を身につけることができることが一番のメリットです。

操縦者に業務を委託する事業者にとっても、業務を委託するドローンの操縦者がいったいどれくらいの技術レベルを持っているのかを国家資格が証明してくれれば、安心して業務を委託できますよね。

ーーードローン操縦者の技量や知識をしっかりと証明するものとして、国家資格は今後価値を発揮していくということですね。資格を取得するために、今回佐藤さんが執筆した書籍と講義を行った動画を組み合わせて、どのように勉強をすればよいのでしょうか。まったくの初学者の方や、すでにドローンを飛ばされている方もいらっしゃると思うのですが。

佐藤 まずは空き時間で、音声だけでもいいのですが、言葉になじんでいただきたいです。初めて聞く用語も多いと思うので、まずは言葉に慣れていきましょう。そのうえで、通勤途中やお昼休みなど、30分〜1時間くらいのまとまった時間をとってテキストを手元に置いて学んでいただくと、知識の吸収率・定着率が高まると思います。

さらに、教則のPDFが国交省のサイトにあるので、これをプリントアウトしていただいて自分なりに大事なところに線を引きながら読み込んでいきましょう。教則の大事な部分は、書籍ではアンダーラインや太字で強調しています(オンラインスクールの講義動画でも、重要な部分に蛍光ペンで色を付けています)。

また、私なりの工夫として教則にある言葉を、書籍の中では実際の飛行シーンや実務でイメージしやすい言葉や場面に置き換えています。教則と書籍を両方読み合わせることで、ぜひ試験対策と実務の両方に役立つ知識を身につけてください。

ーーー学習を進める中で、理解度はどのように確認すればよいのでしょうか。

佐藤 書籍の中に、実際のテストの雰囲気を知ってもらうための「理解度チェックテスト」を収録しています。学んだ知識が、実際に問題としてどのように出題されるのかを体験していただけると、試験がイメージしやすくなるはずです。私のツイッターアカウント(@outPf_drone)では、学科試験の問題を毎日ツイートしているので、ぜひフォローしてみてください。

ーーー試験合格に向けた、学習期間の目安などあれば教えてください。

佐藤 学科試験だとしっかり学ぶとしても1〜2か月くらいの期間は必要だと思います。すでに民間資格を持っている方は、1か月もかからないかもしれません。初めて勉強される方も、1年や半年といった長い期間は必要なく、集中して学習すれば1か月未満といった短期間で十分合格できると思います。

ただ、実技試験については、操縦の経験に応じた個人差があるかもしれません。すでに十分な飛行経験がある方はすぐに合格できるでしょう。一方、初学者の方は1〜3か月くらい、時間にすると30〜50時間くらいドローンを飛ばさないと、試験合格は難しいかもしれませんね。

ーーー最後に、書籍の読者、オンラインスクールの受講を検討されている方に一言お願いします。

佐藤 ドローンの国家資格取得、さらに実際に操縦を行う際には、技術だけでなく法律、マナーなど気をつけなければいけないことがたくさんあります。この書籍や動画を受講される方にとって、試験に合格することがゴールではないはずです。

書籍とオンラインスクールの講義動画を組み合わせて最速で資格を取得したら、そのあとは学んだことを忘れないように、合格後も書籍を読み返して現場で役立つ知識を着実に身につけてほしいですね。


佐藤 靖 Yasushi Sato

株式会社アウトパフォーマンス代表取締役。一般社団法人 日本ドローンコンソーシアム認定指導員・検定員。2015年4月 株式会社エネルギア・コミュニケーションズにて新規事業としてドローン事業の立上げより従事。特にドローンによる空撮とAI 画像解析技術を組み合わせた電気設備点検のシステム開発に注力する。2022年9月同社を退職、株式会社アウトパフォーマンスを設立。
【著書】
『ドローン操縦士免許 完全合格テキスト―学科試験+実地試験対応―』(オーム社)
『ドローンパイロットの基礎知識』(アマゾンPOD 出版)
『ドローン 安全な運用と法令 一問一答厳選150』(アマゾンPOD 出版) など

佐藤靖さんプロフィール
2022年12月より国家資格(「無人航空機操縦者技能証明」)となったドローン操縦ライセンス取得の本邦初の対策書です。 学科試験に関しては、操縦士に求められる知識として国交省より公表されている教則の内容を各単元ごとに解説するとともに、それぞれの単元で実際の試験を意識したチェックテスト(三肢択一式)を設け、合格の参考となるような内容でまとめています。実地試験については、公表されている実地試験実施基準に沿い、実技試験、机上試験、口述試験のあらましを解説し、受験者の理解を助ける内容となっています。
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