電験三種の「試験本番で役立つ応用力」を身につけるには?山下明先生に聞いてみました

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オーム社オンラインスクール「基礎力養成コース 電験三種」シリーズで講師を務める山下明先生。

今回はオーム社オンラインスクールへ寄せられたお悩みに対し、アドバイスをいただきました。

相談者

電験三種の受験勉強を進めていますが、出題形式が変わると解き方がわからなくなってしまいます。
例えばテキストに載っている例題はなんとか解けるのですが、模擬試験では問題が解けなくなってしまいます。試験本番で役立つ、応用力を身につける方法を教えてください。

山下先生

ご質問をいただき、ありがとうございます。
このお悩みは、電験三種の学習を進めている皆さんがほぼ直面するものだと思います。

例題と試験問題の違いとは

複雑な演算が必要

まず、例題と模擬テスト(あるいは試験本番)の問題の違いについて考えてみましょう。
例題は、テキストに載っている公式の基本的な使い方を学ぶための問題です。
ですから問題を解くカギとなる公式を知っていれば、割とシンプルに解くことができるように設計されています。

しかし、模擬テストの問題は、さらに複雑な演算を必要とするものがほとんどです。
ざっくりした例えになってしまいますが、「A=B、B=C、C=D、D=E、E=F、F=GだからA=G」のようなイメージです。

初めて見る問題

そして、最大の違いは「初めて見る問題」だということです。
電験三種の試験では(今後は過去問題の出題数が増えていく可能性もありますが)ほとんどの問題が「試験当日に初めて見る問題」のはずです。

これらの違いを踏まえたうえで、どのように学習を進めていけば試験本番で役立つ応用力が身につくのでしょうか。

このお悩みを解決するための私からのアドバイスは、
「過去問を自分が知っている知識だけでがんばって解いてみよう」です。

初めて見る問題が解けないのは、当たり前

初めて見る問題が解けないのは、当たり前のことだと私は考えています。
問題が簡単すぎて、受験生がすべて合格する試験があったら、試験に合格する価値が無くなってしまいますよね。

世の中にある様々な試験では、合格率や難易度を設定するにあたり知識の量も問うていますが、それだけでなくその分野で必要とされる「能力」を身につけることを重要視しています。

それでは、電験三種試験合格のために必要な「能力」とは一体何なのでしょうか。

電験三種試験に必要な能力とは

電験三種試験合格のために必要な「能力」。それは「手持ちの知識をもとに問題を解決する能力」です。

例えば、電験三種合格後にみなさんが実務に携わっている場面を想像してみてください。
日常の保守管理業務以外にも、停電やショートなどのトラブルが発生した際に、緊急対応を求められる場面も多いはずです。

トラブルと一言でいってもその内容は様々です。今までに発生したトラブルがそっくりそのまま起こるケースは少なく、おそらく都度手持ちの知識をもとにトラブルの原因と解決方法を推測し、対応することになるでしょう。

つまり、電験三種の試験勉強でも「手持ちの知識をもとに問題を解決する能力」を高めることが求められているのです。

試験本番で必要な知識とは

電験三種で必要な「知識」は、テキストで学ぶ様々な公式です。
公式とは読んで字のごとく「公になっている知識」のことを表しています。「三平方の定理」など、学校で習いましたよね。

電験三種試験の本番では、この知識・公式を駆使して問題を解くことが求められます。

試験勉強を進めるみなさんは、テキストで一通りの基礎知識を学んだあとに問題演習に取り組まれると思いますが、どのように取り組んでいるかを振り返ってみてください。
おそらく、問題を解いたらすぐに解答を見て、解説に載っている公式をチェック…といった流れを繰り返しているのではないでしょうか。

この方法だと数多くの問題演習に取り組むことができるため、出題傾向やパターンを把握できるという利点がありますが、「試験本番で初めて見た問題を解けるようになる」というそもそもの目的を達成するためには、もうひと工夫が必要になります。

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手持ちの知識でなんとかしてみよう!

まずは自分が持っている知識だけで、問題に取り組んでみましょう。

最初はなかなか答えにたどり着けず、しんどい思いをするかもしれません。
しかし、試験本番までどれだけ勉強をしても試験範囲すべてに対応できるだけの知識・公式を学習することは極めて難しいはずです。

まずは自分が今持っている知識だけで過去問題に取り組み、少しずつでも「今持っている知識だけで問題を解く方法」を学ぶことが重要になるのです。

通勤途中など日常生活のスキマ時間でも、解き方をあれこれ考えてみることはできます。
途中で行き詰まったら、日頃使用しているテキストを見たり、インターネット上の情報を調べたりしてもよいでしょう。
とにかく、すぐに答えを確認せず、悪戦苦闘、四苦八苦し、苦心惨憺することが大事です。

このように試行錯誤する経験を通じてきっとあなただけの問題の解き方が見つかり、試験合格後の実務でも役立つはずですよ。

山下明先生プロフィール

1991年大阪府出身。高校在学中に電験三種試験に合格。大阪市立大学工学部(電子・物理工学科)在学中に、工業高校で使用される「電気基礎」の教科書を発行。現在は「やさしく語る電気のイメージ 電気機器の入門講座」を連載中。茶道を嗜んでいることもあり、和服が定番スタイル。

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